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2021年07月09日

スタンフォード監獄実験が教えてくれる環境の大切さ

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「スタンフォード監獄実験」というものをご存知でしょうか?
1971年にスタンフォード大学で心理学者フィリップ・ジンバルドーが行なった実験のことです。
現在では倫理的にこのような実験は行われることはないでしょうが、この実験の結果というものは指導者やアスリートにとってどの様な環境(場所・立場・状況)に身を置くべきかを考えさせるきっかけとなります。
以下にこの実験の結果と心理的作用を解説していきますので是非目標に向かっていく上で参考にされて下さい!

目次

スタンフォード監獄実験

大まかにその実験の概要を説明すると、新聞広告の公募で集められた70名の心身共に健全な人間のうち21人が選抜されて11人を看守役に、そして残り10人を囚人役にグループ分けして2週間を過ごさせるというものです。
囚人役の10人は、実際に逮捕されるところからその実験は始まります。
本物の警官の協力を得て逮捕し、パトカーで輸送され、スタンフォードの心理学部の地下室に作られた仮設の牢屋に入れられるのです。(この時点で囚人役の11名は本当に牢屋に入れられたと思い込んでいます。)
かたや、残り11人の方には看守服を着せ、その牢屋に配置させます。
両者は2週間のあいだ、しっかりと役割を演じ切ることを課されます。
そして、よりその役割に臨場感を持たせるために、囚人は番号で呼ばれ、足に鎖をされ、看守の前で脱衣させられたり、体に散布剤を撒かれたり、指紋をとられるなど徹底して本物さながらの監獄での作業を強いたのです。

実験は既定の2週間を待たずに中止

実験はあくまでそれぞれの役を演じるだけなんですが、看守役には軍服の様な看守服を着せることで権威性を出させたり、囚人役に屈辱感・無力感を感じさせる行為をさせることでなるべく本物さながらの臨場感を形成する工夫がされていました。
(看守役は、最初のうちは囚人に対して指示や命令を出すことに躊躇があったそうですが、それでも実験だから出来る限り囚人に威厳を示して統制をとることを実験者側から言われていました。)
この様な実際の監獄さながらの臨場感の中で両者の関係性がどの様になっていくのかというのを観察するのがこの実験の趣旨だったのですが、この人たちは2週間後どのようになったと思いますか?
実は、この実験は2週間も続かなかったんです。
何故かというと、囚人役のうちの二人が2週間を待たずしてストレス障害に陥ってしまったからです。
実験を中断せざるを得なかったんですね。

環境が新しい自己イメージを作りあげる

なぜ実験が中断してしまったのかというと、看守側の役をしている人たちの囚人に対する行為がエスカレートしていったからなんです。
看守役は、罰としてトイレをバケツでさせたり、腕立て伏せをさせたり、裸にして覆面をさせ尋問をしたりと徹底的に看守としての役割(それどころか屈辱的なことのオンパレード)を実行するようになっていきました。
(※囚人に対してどのような行動をとるかは本人たちに任せられ、暴力のみ禁止されていました。)
逆に、囚人役の方は、これが実験と知ってはいながらもあまりの無力感から気力を失ってしまい、こころを病んでいったのです。
ちなみに、看守役は後に実験者側から「囚人側の人間にストレス障害が起こったから実験を中止する」と伝えられた際に、「なんでだ、なぜ最後までちゃんとやらせないんだ。」と言ったそうですから、こういう役をやることによって次第にそういう自己イメージを作り上げてしまったんでしょうね。
本当に凄い実験ですね。(現代ではまず出来ませんが…)

環境が持つ臨場感に人は引きずり込まれる

上記の内容を読んでもらってご理解頂けたように、人間というのは環境や状況が変わると自己イメージが変わってしまうのです。
心身共に健康だった人間が2週間もたたないうちにストレス障害になってしまうのは、間違いなく絶望的な環境に置かれ希望が持てなくなってしまったから。
また、躊躇していた人間が非人道的なやり方で人を追い込めるまでになったのは、それをやってもいいところ、またはそうやってでも囚人に規律を持たせるべきだという状況に置かれたから。
コーチング的に言うならば、
〝圧倒的な臨場感にさらされたから現実になってしまった〟
ということなんです。
この様にの脳は臨場感が高いとそれを現実とみなします。
これはビジュアライゼーションの公式である
イメージ×臨場感=現実
そのまんまです。
環境が持つ臨場感に人は引きずり込まれるということなのです。

人間のパフォーマンスは環境が大きく関与する

囚人役も看守役も、もともとの人間性はきっと根の優しい人なのでしょう。
それでも囚人役には囚人、看守役には看守という臨場感を高めてあげるだけで、こうも人は変わってしまうのです。
まあ、今日のこの実験のお話はあまり綺麗な例ではないんですが、この実験が私たちに教えてくれることは、
「目標側の環境に行け!」
「目標側の臨場感い浸れ!」
ということです。
さすれば、脳はそのような自分を自分らしいとみなし、本当にそのようになっていくよということです。
ですから、飛躍をしたいのなら、是非環境を変えるということを行うようにしてみて下さい。
ただですね、この実験の様に間違っても悪い環境には入っていかないで下さい。
愚痴ばっかり言っている人と一緒に居たり、悪いところばっかり指摘する指導者といると、自分もそうなっていきますから。
どの環境に身を置き、どのような臨場感に浸るべきかというのをよく考える様にしてもらえればと思います!

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