2020年05月13日
コロナ禍におけるアスリートのマインドのケアについて
ブログ
試合どころか練習することすら難しく、来年に延期された東京オリンピックですらままならない状態と言えます。
非日常が続くストレスとスポーツができないことに対するフラストレーション、そして新型コロナウイルスにかかってしまうかもしれないという不安は確実にアスリートのマインドを蝕んでいます。
今回、不安や恐怖の中でも何とか未来を信じて必死に踏ん張っているアスリートの皆さんに、こういう時期だからこそ行ってもらいたいマインドのケアの方法をお伝えしておきたいと思います。
目次
不安や恐怖はいずれ身体に症状として現れる
これからマインドのお話をするにあたり、前提知識として知っておいてもらいたいことを述べておきます。
それは何かというと、「心と体は同じものである」ということです。
急にこんなことを言われても納得しにくいかもしれませんが、実はこれはまぎれもない事実。心と体は抽象度が違うだけでどちらも同じものなのです。
ほんの少し深く考えればすぐに納得できるかと思いますが、私たちはいつも心で思考をしてその通りに行動をします。心と相反する行動を身体がすることはありませんよね。
それから、歌ったり踊ったりして体を使うことで心がスッキリしたりするでしょう。
この様に心と体とは同じものであり、相互関係が成り立っているのです。
ということは、不安や恐怖に脅かされ続けているといずれ何からの形で身体に影響が出始めるようになるということです。
それを何とか防ぐためにも、人が不安を感じるメカニズムと、どうすればこのコロナ禍を上手く乗り切っていけるかについて解説していきますので、ぜひ熟読して頂ければと思います。
不安や恐怖大きくするのは偏桃体
人間の脳には大脳辺縁系という部位があります。
そしてその更に中央部に偏桃体という器官があります。
ここは、人間に不安や恐怖などの情動を引き起こす働きがあります。
皆さんに身近な例でいうと、ここ一番の場面で自分が外したら負けるという状況になると心臓がバクバクし、手が震えだし始めますよね。
これはこの偏桃体が発火し不安を増長してしまうからなんです。
この偏桃体が発火している時というのは、コルチゾールという伝達物質が分泌され交感神経優位な状態になります。
交感神経は活発に身体を使う際に働くアクセルとしての働きを持つ神経系なのですが、このコロナ禍で2か月も3か月も不安を感じ続けている状態というのは、ずっとエンジンを切らずにアクセルを踏み込んでいる状態に等しいのです。
こんなことをしていると車のエンジンが壊れるのと同様に、人間の身体にも支障が出始めるのです。
偏桃体を煽るテレビという存在
皆さんは新型コロナウイルスの情報を欠かさず収集されていると思います。
そしてその収集する際の情報媒体はほとんどがテレビなのではないでしょうか。
実は新型コロナウイルスの情報を収集するにあたってテレビはお勧めではありません。
なぜかというと、映像が脳に対する強烈な刷り込み作用があるからです。
毎日のように感染者数や死者数の速報がながれ、有名人の死や、企業の倒産、自殺など私たちの未来に暗い影を落とすような内容が留まることなく流され続けています。
このような臨場感の高い映像を何度も何度も見続けることによって、自らの脳の偏桃体が発火し続けてしまうことになるのです。
そして、そうして起こる不安の蓄積は「医学的に原因不明の身体症状」(Multiple Unexplained Physical Symptom:MUPS)として現れるようになります。
頭痛やめまい、吐き気、蕁麻疹、食欲不振、抑うつ状態などです。
もしかすると、すでに症状が出始めている方もいらっしゃるかもしれません。
ということで、まずはテレビから情報を収集することをやめて下さい。
不安から自分を守るために
とはいっても、新型コロナウイルスの情報を収集しないというわけにはいきませんよね。
そこで、どのような情報の収集の仕方が偏桃体を発火させることなく安全に収集できるのか、どうすれば日々マインドに蓄積したストレスを緩和できるのかについて解説していきたいと思います。
文字情報を読み込む
新型コロナウイルスの情報を収集するにあたってはできるだけ「文字情報」で収集するようにして下さい。
新聞を複数読み込んだり、信頼性のある情報サイトの文字情報を読むと良いです。
人間は文字情報法を読み込むと論理的思考を司る「前頭前野」が活性化することがわかっています。
そしてこの前頭前野は偏桃体と反比例の関係にあるのです。
つまり、偏桃体が優位になると前頭前野が抑えられ、前頭前野を優位になれば偏桃体の働が抑えられます。
ですから、前頭前野が優位な状態に保ち、不安を払拭するためにも文字情報をメインにした情報収集に切り替えることがお勧めといえます。
リラックスを心がける
先に、偏桃体が発火することによってアクセル状態の交感神経が優位になると話しました。
これは体にとってものすごく大きな負担となります。
ですから、副交感神経を優位にすることを行うようにして下さい。
お風呂にゆっくり浸かるでもいいし、マッサージを受けるでもいいです。
晴れた日に三蜜を避けながらのんびり外を散歩をするとビタミンDも形成できて免疫力が上がり一石二鳥です。
また、睡眠をしっかりとってノンレム睡眠に深く入ることでレジリエンス能力が高まります。
交換神経優位な状態が続いてしまいやすいこのような状況だからこそ、あえて意図的に副交感神経に入ることを意識してもらえたらと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
すでに不調が現れ始めていた人は、なぜ自分がこのような状態になったのかがわかったと思います。
是非テレビで情報収集することを止め、文字情報で前頭前野を活性化させながら情報収集をするようにして下さい。
それと、MUPSは1年から1年半ほど後に症状として出てくることが多いです。
つまり、もし仮にそのころに新型コロナウイルスが日本で終息に向かっていたとしても、ちゃんと現れるということです。その時には原因不明の症状として。
ですから、今現在チームの仲間や自分の近しい人に不安を抱えている人がいれば、このblogで解説してきたことを是非共有するようにして下さい。
スポーツが出来る世の中になったとしても、その時に体調が優れないでは意味がありません。
健康あってこそのスポーツ。
是非みんなで正しい知識を持って乗り越えていきましょう!